白内障手術について
手術内容

白内障によって濁った水晶体を取り除き、代わりとなる眼内レンズ(人工水晶体)に置き換える手術が、多く行われています。
眼内レンズを入れる手術には「超音波乳化吸引術」と「水晶体嚢外摘出術」の2種類があり、一般的に多く行われているのは「超音波乳化吸引術」です。
超音波乳化吸引術では、濁った水晶体を超音波で分割、取り除き、眼内レンズを挿入します。傷口が小さく安全性が高い手術です。
水晶体嚢外摘出術は水晶体の濁りが悪化している場合など水晶体を取り除くことが難しい場合に行う手術です。
手術方法
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1切開をします。
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2水晶体の膜を切り取り濁った水晶体を砕いて吸い出します。
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3眼内レンズをいれます。
- 手術時間は20分~30分です。
- 手術中の痛みは、通常は感じません。
- 術後の見え方については、個人差があります。術後翌日からよく見えるように感じる方、あるいは1週間以上かけて徐々に回復していく方もいらっしゃいます。
手術後の通院
- 手術後の通院は最初の1ヶ月が一番大切です。1~2週間に1回程度の通院となります。
- 1ヶ月以降は患者さまの状態により異なりますので、医師の指示に従ってください。
手術後の注意点
- 点眼期間は1~3ヶ月程度ですが、外来での医師の指示に従ってください。
- 内服薬は、手術後の感染予防の目的で抗生剤が処方されます。
- 汗をかくような運動は、術後1週間は控えてください。
- アイメイクは術後1ヶ月は避けてください。
- 飲酒は手術日から4日間はご遠慮ください。
- 美容院であれば手術翌日から洗髪はできますが、術後4日目までは水や汗が目に入らないように、顔は拭くだけにしてください。
眼内レンズについてーライフスタイルに合ったレンズを選ぶー
一度眼の中に入れたレンズはメンテナンスをする必要がなく、長期間透明な状態を維持し、不具合がなければ生涯使用することが可能です。
眼内レンズは水晶体のように厚みを変化させてピントを合わせることができないため、手術後のライフスタイルを考えて、適したレンズを選ぶことが大切です。
単焦点眼内レンズ
遠く、または近くの1箇所にピントを合わせます。
読書やスマートフォン、パソコンなど近くを見ることが多い人は近くに焦点を合わせる眼内レンズを挿入し、遠くをみるときは眼鏡が必要になります。
スポーツや車の運転など遠くを見ることが多い方は遠くに焦点を合わせる眼内レンズを挿入し、近くをみるときには眼鏡(老眼鏡)が必要となります。
多焦点眼内レンズ
一つのレンズに遠近両方のレンズが組み込まれ、複数の距離にピントを合わせます。
単焦点レンズと比較して、眼鏡をかけることが少なくなります。
見える範囲は広くなりますが、単焦点レンズと比べるとピントがあまく見え方に慣れるまで多少違和感が生じることがあります。
高機能多焦点眼内レンズ
一つのレンズに遠近両方のレンズが組み込まれ、二箇所にピントを合わせます。
見える範囲が広く、より鮮明に見えるレンズです。
乱視がある方も完全オーダーメイドの乱視矯正が可能です。
独自のレンズ構造により夜間に見る光のにじみやまぶしさが少ないのが特徴です。
多焦点眼内レンズの注意点
多焦点眼内レンズの不適合
多焦点眼内レンズは慣れるまでに数ヶ月かかることがあり、稀に見え方が改善されない場合もあります。
見え方に不具合が生じた場合は多焦点レンズを入れ替える手術が必要になります。
手術後の不具合に対しての眼内レンズの入れ替え等、再手術に関連する費用については全額保険適用外となります。
※眼内レンズの脱臼や混濁など、疾病による眼内レンズの入れ替え手術は保険適用となります。
コントラスト感度の低下
下記のように白く膜がかかったように見えたり、鮮明さが劣る場合があります。


夜間のハロー・グレア現象
下記のように夜間に光のにじみを感じることがあります。
ハロー・・・光のまわりに輪ができたように見える。
グレア・・・光が飛び散りまぶしく見える。


患者さまの職業やご希望の見え方など、ご自身のライフスタイルに合わせたレンズ選びが重要です。
診察時に医師と相談しながら最適なレンズをお選びいただけます。
手術費用
保険診療(単焦点眼内レンズ)
白内障手術(日帰り)
片眼:約60,000円(3割負担の方)
※金額は保険適応の単焦点眼内レンズを用いた場合の、片眼の費用の目安です。症状の程度により手術時の注射や薬剤等が変わりますので多少前後します。
白内障手術(入院)
片眼:約60,000円(3割負担の方)
- 上記の金額に食事代が含まれます。
- 保険適応の単焦点眼内レンズを用いた手術の場合、入院されるお部屋や手術内容等によって費用が変わります。
- 室料差額は別途加算されます。
選定療養(多焦点眼内レンズ)
選定療養とは、患者さまが追加費用を自己負担することによって、保険適用の治療と併せて追加でお選びいただける医療サービスのことです。多焦点レンズを用いた白内障手術は厚生労働省が定める選定療養の対象となり、当院は多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届出をしています。

A:当院の多焦点眼内レンズの自己負担額
多機能眼内レンズの種類 (ピント) |
乱視の有無 | 金額 (片眼・税込) |
---|---|---|
2焦点回折型 (近方・遠方) |
無 | 165,000円 |
有 | 187,000円 | |
焦点深度拡張型 (中間~遠方) |
無 | 176,000円 |
有 | 198,000円 | |
3焦点回折型 (近方・中間・遠方) |
無 | 264,000円 |
有 | 286,000円 | |
連続焦点型 (近方~遠方) |
無 | 264,000円 |
有 | 286,000円 |
自由診療(多焦点眼内レンズ)
片眼:85万円(税込)
※手術費、手術前後の診療、投薬費含む
※乱視あり・なしに関わらず同額
フェムトセカンドレーザーによる白内障手術についてはこちら
入院期間
手術そのものに関しては、入院してもしなくても同じ術式ですので、入院の必要はほとんどありません。
ただ、手術の日は片眼に眼帯をしたまま家に帰らなければならない点や、次の日に必ず来院しなくてはいけない点を考えると入院した方が便利といえます。
入院の場合は1~3日が目安です。
ただし当院に頻繁に通院できる方で入院が出来ない方は、日帰りでの手術を実施しています。
日帰りの手術の適応については、担当医師とご相談ください。
日帰り白内障手術について
以下の適応基準を満たしている方は日帰り白内障手術が可能です
- 日帰り手術を理解し、希望されていること。
- 当院で行われている日帰り手術の対象となる病気であること。
- 手術後の合併症が最小限であると予測されること。
- 自宅が遠距離でなく来院、帰宅時に付き添える家族等がいること。
日帰り白内障手術のメリット
- 日常の生活のリズムを変えずに手術ができるため、家事や仕事の忙しい方、入院生活になじめないお年寄りにも好評です。
- 費用が通常の入院より少し安くなります。
- 早期の社会復帰が可能となります。