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Vol.123 「人生100 年時代」に求められる眼科医療を


2023年1月号 Vol.123井上眼科だより
井上眼科病院とお茶の水・井上眼科クリニック。グループの拠点を担う両者の特長とは、そして目指すべき医療とは、どのようなものでしょうか。新年号では、井上理事長と天野院長にお話を聞きました。

年間約5500件、
日本トップレベルの手術件数

―井上眼科病院では、主にどのような手術を行っていますか?

井上眼科病院 
院長 井上賢治


井上 約7割(4000件程度)が白内障です。難症例や合併症のある白内障手術も得意としています。それに眼瞼、緑内障、斜視、角膜移植なども合わせると、年間約5500件の手術をしています。厚労省の統計(令和2年度「DPC導入の影響評価に関する調査」)によると日本トップレベルの手術治療を提供できているようです。首都圏には大学病院や総合病院が多くある中で、眼科専門病院としてのメリットを最大限に発揮できている成果だと思っています(下記「手術件数内訳」参照)。

―眼科専門病院として、当院の強みとは何でしょうか?

井上 まずは手術できる医師が多く在籍していること。そして経験豊富な医師が自らの治療や技術を若手に教える「育てる文化」があることです。人が育つことで技術のレベルアップにつながりますから、後進育成には力を入れています。医師が教え合い、スキルを高め合う文化が、さまざまな手術を幅広くできる体制を生み出しています。

それに加え、眼科専門病院としての体制も大きなポイントです。当院には、麻酔科医が常勤しているため、全身麻酔下での手術が可能です。お子様やご高齢の方、認知症の患者さまにも全身管理を行いながら安全な手術ができます。また入院生活では、眼帯などをした見えづらい状態になり、食事をとる・トイレに行くなど日々の生活でしていたことを難しく感じる場合があります。そういった場面で、「見えづらさ」をよく理解するスタッフがスムーズに介助やサポートを行い、少しでも患者さまに快適な入院生活を送れるよう努めているところも眼科専門病院ならではだと思います。

当院は手術件数だけでなく、症例数も多いのが特長です。同じ症例が多く集まるほど、何が効果的な治療なのかを発見でき、治療や手術レベルの向上につながります。その点は、手術を担う「井上眼科病院」と外来部門の「お茶の水・井上眼科クリニック」とが上手く連携している証拠ではないでしょうか。おかげさまで、その成果が医療連携にも表れており、当院OB・OGの先生をはじめ、全国40都道府県から年間5000人以上の患者さまをご紹介いただいています。医師からも選ばれる病院として、今後もその期待に応えられるように、人・技術のレベルアップに取り組んでまいります。




あらゆる眼疾患に対応する20の外来

―井上眼科クリニックは専門外来が充実していますが、その理由は何でしょうか?


天野 クリニック開院当時(2006年)、外来は6つでしたが、2023年現在は20まで拡充されました。これは近年のテクノロジーの目覚ましい進歩によって医療機器の種類が増えたこと、それに伴い、研究が進展して疾患への理解が深まった結果でもあります。また患者さまのニーズが時代とともに変化している点も大きいです。40年位前の白内障手術では「視力回復」を目的としていましたが、ここ最近は「見え方の質」が問われており、眼内レンズのバリエーションも豊かになっています。こうした患者さまの満足度にまで手を伸ばしていくことも眼科治療のトレンドになっているように感じます。これらの変化を受けて、当院でも積極的に最先端の機器を導入し、専門外来を段階的に発展させてきました。

お茶の水・井上眼科クリニック
院長 天野史郎


―眼のプロフェッショナルとして、患者さまにどう向き合っていますか?

天野 一方で医療の専門化が進み、「一人の医師が全ての診療をカバーすること」が難しい状況になっています。その点、当院のように、ひとつのクリニックで「あらゆる眼の病気を診ることができる」というのは、患者さまにとっても心強いのではないでしょうか。加齢や合併症などで複数の眼の病気を抱えてしまう場合もあります。そういったケースでも医師同士の意思疎通が取れているため、患者さまを複数のプロフェッショナルで支える体制が出来上がっています。そのため私自身も、新しいことを学ぶ姿勢を大切にしています。井上理事長から「育てる文化」という言葉があったたように、学んだ知見を後進に教えることで、今後も眼科専門病院としてバランスの良い医療を追求していきたいと思っています。


「人生100年時代」に求められる医療とは?

―昨今、「人生100年時代」といわれ、健康のニーズがより高まっています。
専門病院として、どういった姿勢が求められていると思いますか?


天野 医療がどれだけ専門分化しようとも、私たちが向き合うのは患者さま一人ひとり。そのためにも、「患者さまの悩みに最善の解決策を出す姿勢」が求められていると思います。専門病院として、あらゆる世代をカバーし、最先端・最良の医療を提供するためにも、人を育てる、最新の知見を取り入れる、最新機器を導入するなど、「アップデートし続ける病院」でありたいと思います。

井上 天野院長が言ったように「困ったときに手を差し伸べられる存在」でありたいと思います。その点を踏まえて、「眼」の総合病院として、Cure [ 治療] からCare [ 生き方] の問題までアプローチできたらと考えています。まだまだ最新医学をもってしても、失明やロービジョン(視覚障害)を無くすことはできません。患者さまにとっては、病気と共にするその後の歩みがあります。そういった側面にも寄り添える精神的な支柱でもありたいと思っています。
当院では、医師も職員も長いスパンで働いているため、患者さまともファミリーのようにお付き合いできることが強みです。その強みをうまく活かし、治療だけでなく、患者さまと社会を橋渡しする部分にまで少し手を伸ばしながら、患者さまの眼の生涯をサポートしていきたいですね。




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