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Vol.119 井上眼科の緑内障治療


2022年1月号 Vol.119井上眼科だより

Q: 緑内障の主な症状と治療法は?

井上 緑内障は、眼圧(眼の中の圧力)が上がることで視神経に異常が起きて視野が徐々に欠けていき、最終的には失明にいたることもある疾患です。人間の目はうまくできていて、片目の一部が見えにくくても両目で視力を補って見てしまうので、自分では視野の欠損に気づきにくいんですね。このように日常生活では自覚症状が出にくいため、病状が進んでしまうケースも少なくありません。初期は主に点眼治療を行います。近年では、早い段階から適切な治療を受けることで、生涯、ある程度見え方に不自由なく日常生活を送ることができるようになっています。しかし、点眼薬だけでは効果が不十分な場合には手術を行います。緑内障により一度失われた視力や視野は、残念ながら元に戻りません。しかし根気よく治療を継続することで緑内障の進行を遅らせることは可能です。

日本人に多い「正常眼圧緑内障」とは?

井上 一般に、眼圧が高いと緑内障発症のリスクが高いといわれています。ところが最近は正常な眼圧なのに緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」の方が増えています。一般的な健康診断の検査項目にも眼圧検査はありますが、緑内障の早期発見の検査としては十分ではありません。眼圧検査に加え、眼底検査や視野検査などの専門的な検査をしなければ、緑内障の予兆を正確に見つけることは難しいのが現状です。

早期発見・早期治療のためには?

井上 おそらく、皆さまは定期的に自治体や企業などの健康診断を受けていらっしゃると思います。そのタイミングでぜひ「眼科ドック」の受診をお勧めします。眼科ドックでは専門機器による詳しい検査を行います。特に強度の近視、ご家族に緑内障の方がいるなどリスクの高い方は、積極的に検診を受けていただきたいですね。自覚症状がないのに眼科へ行くのはなかなか大変だと思います。しかし、一年に一度、眼科で検診を受けることを習慣づければ、確実に緑内障の早期発見・早期治療につながります。緑内障に備える方法はこれ以外にはないと言ってもよいでしょう。生涯、「見える目」を維持するために、日ごろから眼のメンテナンスを心がけてください。
まずは知りたい
「緑内障」のこと

データで見る緑内障

日本人の視野障害の原因第1 位は、緑内障です。一般的には「眼圧が高いと緑内障になるリスクが高まる」と言われていますが、実は緑内障患者の約7 割は正常眼圧緑内障なのです。人によっては視神経が圧力に弱く、正常な範囲内の眼圧でも耐えられないことがあると考えられています。

定期的な検査を受けましょう

初期に自覚症状がほとんどない緑内障は、眼科を受診して、詳しい検査を定期的に受けることが早期発見につながります。中でも「眼底検査」は眼の奥の網膜を撮影して視神経の状態をチェックする重要な検査です。現在の特定健診では、地域によって必須項目ではないこともありますので、眼科で眼の状態を定期的に確認するようにしましょう。さらに当院には、「OCT」といわれる三次元の画像解析装置を用いた検査方法もあります。緑内障になる手前の段階である“前視野緑内障” のうちから発見の可能性が高まり、より早く治療を始めることができます。


三次元眼底解析検査(OCT):
赤外線で眼の中の断層撮影を行い、網膜の層の状態などを確認します。

緑内障の治療について

緑内障治療には、大きく分けて薬物療法・レーザー治療・手術の3つがあります。治療の基本は眼圧を下げることで、点眼薬を用いるのが第一選択です。それでも、視野障害が進行していく場合には、レーザー治療や手術を考えます。お茶の水や西葛西には入院施設も完備していますので、重症の患者さまの手術にも対応が可能です。緑内障治療は視野が回復したりすることがなく、症状が改善している実感がわきにくいので、継続するのが難しい方が多いのも事実です。日々の生活の中で継続できる工夫をアドバイスしたり、治療の重要性を丁寧にご説明して患者さまをサポートしていくことを大切にしています。ぜひお気軽にご相談ください。

お茶の水では緑内障手術を年間350件ほど執刀しています。


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