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Vol.116 140周年スペシャルインタビュー


2021年4月号 Vol.116井上眼科だより-140周年記念号-


「これまでの治療と、眼の総合病院としての未来」

医療法人社団済安堂
理事長 井上 賢治 Kenji Inoue
1993年千葉大学医学部卒、1998年東京大学医学部大学院修了。眼科専門医。専門は緑内障。2002年より井上眼科病院に勤務し2008年に医療法人社団済安堂理事長就任。2012年から井上眼科病院院長を兼務。日本眼科医会常任理事。140年(1881年創立)の歴史を有し、代々受け継がれた眼科専門病院のトップを務める。

時代の変革期に 開院140年を迎えて

神田駿河台に井上眼科病院の前身となる「済安堂医院」が創立されたのは1881年 (明治一四年) 。 初代院長の井上達也は、海外で最先端の眼科学を学び、当時まだ国内に普及していなかった技術や検査機器を次々と取り入れ、 日本における眼科医療の礎を築きました。
それから140年、 井上眼科病院は眼科医療の発展と共に歩み、創立から私で十一代目の院長(直系では五代目)となります。 現在は2つの病院と3つのクリニックを擁する井上眼科病院グループとして、 全国から来院される患者さまに最先端の医療をご提供しています。
近年の新薬や検査機器の進化には目を見張るものがあります。 一方で、超高齢社会を迎え、治療して終わりではない、その先を見据えた総合的な医療が求められています。 私が理事長になって約十年になりますが、 長い歴史のなかでもこれほどの大きな進化はないでしょう。 日本の眼科医療の先駆者たる誇りを大切にしながら、 令和の時代の新たな役割を模索する時が来ていると感じています。

父から受け継いだのは
患者さまへの選択肢の幅をご提案していくこと

当院グループの大きな改革に着手したのは第九代目井上眼科病院院長の父でした。西葛西に初の分院を設立すると、その後も小児眼科などの専門外来を新設し、診療体制を充実させました。私の代でも、遠くから来院される患者さまが通院しやすい拠点を増やすため、大宮や札幌にクリニックを開設しています。また2015年には地域のみなさまの利便性を考え、西葛西・井上眼科病院、西葛西井上眼科こどもクリニック、西葛西井上眼科クリニックの3つの施設を移転・統合しました。

私たちは、眼科の総合病院として多様なニーズに応えるために、保険診療外の治療法もご提案してきました。常に時代を先取りしていた父は「レーシック手術」をいち早く取り入れましたが、現在では「ICL(アイシーエル)手術」、「レーザー白内障手術(高機能多焦点眼内レンズとフェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術)」なども扱っています。患者さまには納得されたうえで治療を受けて頂きたいので、随時説明会を開催し、専門のスタッフが丁寧に説明しています。今後もQOV(クオリティオブビジョン=見え方の質)の向上を目指し、より多くの治療の選択肢をご提案していけるように努めて参ります。

グループ全体で、
地域や同門会の先生方と共に患者さまを診ていく

現在、井上眼科病院、お茶の水・井上眼科クリニック、西葛西・井上眼科病院、大宮・井上眼科クリニック、札幌・井上眼科クリニックと5つの医療施設を展開しています。 私自身、 月に1、 2度は西葛西、 大宮や札幌などに診察のため足を運びます。 その際に現場スタッフと直接会ってコミュニケーションをとるよう心がけています。 また地域のクリニックや当院グループ出身の全国の同門会 (OB・OGの眼科医) の先生方との連携にも力を入れています。高齢の患者さまが通いやすいように、ご近所のクリニックに診察を引き継負など、状況に応じた包括的な診療ができる体制を整えています。

ロービジョンの方へのサポート体制

見えにくい方への支援 (ロービジョンケア) は私たちが特に力を入れている分野です。 お茶の水・井上眼科クリニックでは、 ロービジョンの方が職員として活躍されています。 視覚障がい者用IT機器のサポート係として、 患者さまの気持ちに寄り添ったご案内がご好評をいただいております。 病気になると、 心理的、 経済的な心配ごとが色々と出てくるものですが、その点もご安心ください。 患者さまやご家族がよりよい社会生活を送れるようご相談に応じるソーシャルワーカーが院内に常駐していますので、ぜひお問い合わせください。

AIを活用したの緑内障の早期発見に注目

私の専門は緑内障です。点眼薬や手術の方法などの進歩が著しい分野ですが、それでもなお早期発見・早期治療が大切なことに変わりはありません。初期の緑内障は自覚症状がほとんどないため、 どうしても眼科を受診するタイミングが遅れがちになってしまいます。 なるべくたくさんの方に眼底検査の重要性をご理解いただき、 眼科ドックなどの定期的な検診をお勧めしていくことも私たちの務めだと考えています。
早期診断ということで最近注目しているのは、 AI (人工知能) を活用した治療ですね。 膨大なデータや画像を分析できるAIを導入することで、 より精度の高い治療を提供できるのではないかと期待しています。 まだまだ発展途上の技術ではありますが、 AIと医師がお互い助け合う日が来るのもそう遠くはないのではないでしょうか。

患者さまの眼の人生に寄り添って140年

患者さまが識別しやすいように院内の照明や設備
案内板にユニバーサルデザインを導入しています

患者さまのニーズに応える これからの眼科医療

生活に大きくかかわるQOV(見え方の質)への関心は、今後ますます高まるでしょう。小さなお子様からご高齢の方まで、目の健康と視力を生涯にわたり維持するために何をすべきか。患者さまのニーズに応えるきめ細やかな診療とは何か。課題は尽きません。
ただ、長い歴史の中で培われた井上眼科病院グループにしかできない眼科医療は必ずあると信じています。
これからは医療技術の進化はもちろんですが、価値観の多様化や社会構造の変化に注目していかなければなりません。そのうえで、”患者さま第一主義”という理念を次の世代にしっかりとつなげ、これからの十年、創立150周年にむけて後進の育成にも力を注いでいきたいと思います。

創立140周年記念ムービー
井上眼科病院は、1881年(明治14年)神田駿河台に創立し、2021年で140周年を迎えました。多くの方々に支えられ、眼科医療の発展と共に今日まで歩んでこれましたこと、心より感謝申し上げます。創立からこれまでの歩みと、各施設の院長をはじめとした当院を支える職員をご紹介する記念ムービーを制作し公開いたしましたので、ぜひご覧ください。
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